以前の記事で挙げたリストを頑張って消化したので、感想を添えときます。14作中10作。優先順位があんまり高くない割には健闘したか。残りは読まない…かな。文庫は購入してハードカバーは図書館に感謝。読んだ中で「これは!」と思ったのは
「飛ぶ教室」「夜市」「きつねのはなし」でした。私の場合、作品の良し悪しよりも自分の好みかどうかが優先されるので、合わない人は合わないと思います。
長いので折りたたみました。リンクは例によってアフィリエイトつけてないので、お気軽にどうぞ。
 |
神は沈黙せず〈上〉
著:山本 弘
出版社:角川書店
ISBN:4044601135
発売日:2006/11
¥700
|
 |
神は沈黙せず〈下〉
著:山本 弘
出版社:角川書店
ISBN:4044601143
発売日:2006/11
¥620
|
私の好みではないけど、好きな人には堪らないであろう本格SFでした。小難しいところも平易に解説されていて読みやすかったです。
ホラー小説読んでも、何とも思わない神経の持ち主だと自負していたのに、何故か読んでいて恐がりスイッチが入ってしまってしばらく暗闇が恐ろしかった。超常現象、特にファフロツキーズ(空から異物が落ちてくる)と神の目が恐かったみたい。どうでもいいが、物語で分不相応に驕り高ぶった登場人物が出てきたら「早く真実が暴かれて不幸になれ」と呪いたくなるのが性分のようです。
 |
八十日間世界一周
著:ジュール ヴェルヌ
出版社:角川書店
ISBN:404202209X
発売日:2004/10
¥580
|
冒険物なので、読む前は「野心あふれる少年のような大人」が主人公だと思っていたら、180度違った。こういう人物像を主人公にする作者の発想がすごいですね。19世紀終わりの話なので、英国統治下のインドや中国の様子や、英国人から見た世界の様子が興味深かったです。蛮人って普通に出てくる。訳の問題なのか、原文もそうなのか、回りくどい文章なのが気になった。
ヴェルヌといえば、「十五少年漂流記」が小さい頃の私の愛読書で本当に何度も読み返しましたね。子供向けの絵本だったけど。
 |
飛ぶ教室
著:ケストナー
出版社:光文社
ISBN:4334751059
発売日:2006/09/07
¥500
|
何回読んでも、新しい感動と発見があって幸せな気持ちにさせられる作品です。新訳で気になったのは、正義さんが丸くなってるところ。優しさが強調されてるけど、既に刷り込みでロッテンマイヤーさん(ハイジに出てくるクララの家庭教師ね)のイメージなので違和感がある。あと、現実に忠実であろうと、意識しすぎた部分がちょっと引っかかりました。「ディクテーションノート」…「書き取り帳」でいいじゃん。この文庫は解説が丁寧で、今回も作品への理解が深まる内容でした。
2003年に
現代版にアレンジした映画も公開されていて、これも可愛くて良い出来でした。オススメ。
 |
不信のとき〈上〉
著:有吉 佐和子
出版社:新潮社
ISBN:4101132224
発売日:2006/06
¥580
|
 |
不信のとき〈下〉
著:有吉 佐和子
出版社:新潮社
ISBN:4101132232
発売日:2006/06
¥620
|
妻と愛人を両方に持つ男に、妻や愛人がどんでん返しを食らわすという、異色の恋の駆け引きを書いた恋愛小説となってますが、私的には「そりゃ復讐されても仕方ないよ、これは」と思いました。時代背景もあって、男に悪びれたところがないのに一番イライラした。あと、子供を生むことへの軽率さが受け入れがたかったです。作品としては、ディテールが細かくて当時の食や風俗や社会的価値観がリアリティを持って読者に伝わってるのが上手い。情景が浮かび上がるようです。さすが評価が確定した名作だけあります。
 |
夜市
著:恒川 光太郎
出版社:角川書店
ISBN:4048736515
発売日:2005/10/26
¥1,260
|
切なかった!日本ホラー小説大賞を受賞した表題作もだけど、もう一つの「風の古道」にやられました。自分でもベタな展開に弱いなとは思うんだけど、今回は「登場人物の過去と現在の予想外の繋がり」でした。「あっ!この過去の確執はこの状況と繋がってるのか!」というのが分かった瞬間にゾクゾクした。物語が上手く帰結している感じがするからかな。
両方とも、彼岸と此岸の住人の交わりを描いた作品です。今市子さんの漫画「百鬼夜行抄」のような雰囲気で、和風の異界。風景描写で懐かしいような気分になる。原点は…日本昔話か?ホラーじゃなくてファンタジーっぽいよ。
 |
悪童日記
著:アゴタ クリストフ
出版社:早川書房
ISBN:4151200029
発売日:2001/05
¥651
|
中学校の時に図書室で借りたのと再会です。名作だとは思うけど、R指定の部分が読んでて気分が悪くなったのをよく覚えてる。双子のやることなすこと、全てに唖然として自分がされたような痛々しさを覚えたました。今回の再読は、その記憶を追うような気持ちで読んだので、真っ向からの感想はあんまり湧いてきませんでした。続編の
「ふたりの証拠」「第三の嘘」で「悪童日記」の内容がぐるりと裏返ってしまうのもショックだったなあ。
 |
ラピスラズリ
著:山尾 悠子
出版社:国書刊行会
ISBN:4336045224
発売日:2003/10
¥2,940
|
幻想小説はときどき守備範囲外…。長野まゆみがダメだったことを思い出しました。雰囲気は好きなんだけど、説明が少なくていちいち引っかかってしまい楽しめなかったのが残念だ。物語世界の整合を確かめる作品ではないのに。またリベンジしたい本でした。
 |
きつねのはなし
著:森見 登美彦
出版社:新潮社
ISBN:4104645028
発売日:2006/10/28
¥1,470
|
人気急上昇中の森見登美彦氏。元京大生で京都を舞台にした話ばかりなので、最新作の
「夜は短し歩けよ乙女」が発売されたとき、京都の各書店で特集場所が組まれていて面白かった。出版社主導でやってるみたいです。この本も、だいぶ京都ローカルな説明がたくさん出てきて、地元人としては嬉しいような恥ずかしいような。
短編集で、全体共通のイメージは「魔物が潜む」です。心の隙間を狙って表れる魔物たちが人間を翻弄する。好きなのは、表題作と3つ目の「魔」。デビュー作の
「太陽の塔」も読んだけど、まだこの人の作品は好みかどうかよくわからない。読んだあとは面白かったと思うのに、読んでるときはまとまりがない部分が多くて、場面転換のたびに「ん?これはどう本筋と繋がってるの?て思ってしまう。
 |
10ドルだって大金だ
著:ジャック・リッチー
出版社:河出書房新社
ISBN:4309801013
発売日:2006/10/13
¥2,100
|
解説に、思ったことが殆ど書かれていたので抜粋。
「軽い噺のほうが実はむずかしいのだ、という落語家がいます。前座噺をさらりと演じて爆笑をとるのは生半可な腕でできるものではない、と。しかしその一方で、軽い噺の専門家(スペシャリスト)の評価は必ずしも高くはありません。名人上手ともてはやされるのは、やはり人情噺や大演目を十八番とする落語家のほうです。」
「職人芸というべき簡潔なスタイルでつづられた軽くて面白いストーリーを、三十年ものあいだ毎月のように書きつづけた作家です。」
「クールなアベレージ・ヒッター」
「読んでいるあいだはひたすら愉しく面白く、読み終えた後には見事に何も残らない」
「『軽妙洒脱、殺人が起きても人を食ったユーモアがあるから後味がいい』(川本三郎氏)」
「無駄な言葉をそぎ落とし、可能な限りシンプルにストーリーを語ること」
 |
アンダースロー論
著:渡辺 俊介
出版社:光文社
ISBN:4334033717
発売日:2006/09/15
¥735
|
この新書ブームの中で、初めて購入した新書です。前半の技術部分は、ちっともわからないので読み流しました。中盤からの、投げる時にどんなことを考えているのか、今までの野球人生を振り返る部分が実に俊介らしかった。芯が強くて我慢強い性格は、確実に家庭環境ですね。
イチローが、松井秀樹との対談番組で「小学生の時、かなり前を歩いてる女の子に柿の実を投げて、見事に命中したときにプロ野球選手になれるのを確信した」と言っていたのですが、それとは正反対に「プロにいけるなんて全く思っていなかった」という言葉が各所に入っていました。それはつまり「アンダースローという投げ方がなければ自分は野球をやっていなかった」という考えから来るものなんでしょうね。現役中に、ここまで解説しちゃって良いのかとは、ファンとして不安だけど。
Comments
Comment Form